Japanese
English

2013-2017 文科省科学研究費 特別推進研究

MEMS 多軸力センサを用いた生物の運動計測





研究目的

本研究グループでは、生物が移動する際に生じる力を定量的に計測するため、任意の点に働く力・トルクを計測するためのプローブ型多軸力センサと、力の分布・推移を計測するための平面型多軸力センサの2タイプのセンサを実現することを目的とする。

研究課題
1.プローブ型多軸力センサ

1-1.三軸力+モーメントを計測するためのプローブ型多軸力センサ
Researches
三軸力に加えて、飛翔・旋回行動時に生じるモーメントを計測するため、プローブ型構造を6本のピエゾ抵抗素子で支持することで三軸力+モーメントを計測する構造を実現した。

   

1-2.せん断方向空気力計測センサ

Researches
昆虫の飛翔計測には、体幹にかかる力だけでなく、その翼周りの空気力を流れに影響を与えずに計測する必要がある。プローブ型多軸力センサを流れに沿っておくだけで気流を妨げずにせん断流れ力を計測できることから、プローブ型多軸力センサを応用して翼周りのせん断流れを計測するセンサ構造を実現した。

2.平面型多軸力センサ

2-1.ピエゾ抵抗素子の表面・側面形成方法を用いた平面型三軸力センサ
Researches
生物が存在する面上に働く力を計測するため、シリコン構造体の表面ならびに側面にひずみ計測用のピエゾ抵抗層を形成し、圧力とせん断2方向の力とを計測するセンサ構造を実現した。

   

2-2.平面型多軸フォースプレート

Researches
昆虫のような微小な生物の歩行中の足裏反力を計測するため、MEMSフォースプレートを実現した。フォースプレートは、ピエゾ抵抗素子の抵抗値変化によってプレート上に加わる垂直方向及び水平方向の2方向のμNの力が計測可能な設計となっている。プレートは左右に8個ずつ配置されており、各プレートの上に歩行中の昆虫の各脚が接地することで、各脚の足裏反力を直接同時に計測できる。

   

2-3.平面型六軸力センサ

Researches
力の作用点が大きくずれた場合に、三軸力だけでなく、モーメントが加わる場合が存在した。平面型三軸力センサだけだとモーメントの影響を除外できない場合が存在するため、より正確な力とその作用点を計測するため、8組のピエゾ抵抗素子を用いることで3軸力だけでなくモーメントを同時に計測可能なセンサ構造を実現した。

   

2-4.グラフェン片持ち梁構造

Researches
細胞の移動時の床反力など、pN以下の微小な力の計測には、現在のシリコン片持ち梁の力センサよりも柔らかい構造が必要だと考えられる。そこで、ピエゾ抵抗効果を有するグラフェン薄膜を力センサに用いることを目指し、まずはグラフェンを片持ち梁状に形成する方法を確立した。単層のグラフェン薄膜は厚さが約0.4nmと非常に薄く、シリコンで製作した片持ち梁よりも小さな力でたわむため、より高感度な力計測が可能になると考えられる。

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 下山研究室
東京都文京区本郷7-3-1 工学部2号館8階81B
TEL:03-5841-0461 Fax:03-3818-0835
Shimoyama Lab., Department of Mechano-Informatics, Graduate School of Information Science and Technology, The University of Tokyo.
7-3-1, Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-8656, Japan.