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2013-2017 文科省科学研究費 特別推進研究

MEMS 多軸力センサを用いた生物の運動計測





研究目的

 昆虫羽ばたき飛翔グループでは、10 mm程度の生物である昆虫の運動中に生じる力を評価していく。対象となる昆虫の一つとして、羽ばたき運動によって飛行するショウジョウバエの運動中の力を明らかにしていく。
 6脚で歩行する昆虫の足裏反力を計測するために、水平方向と垂直方向のμNオーダの力を計測できるフォースプレートを実現した。フォースプレートはアレイ状に配置されており、歩行の際の全ての脚の足裏反力を同時に計測することができる。

研究課題
1.昆虫の羽ばたき飛翔力の計測

1-1.ショウジョウバエの羽ばたき運動中の飛翔力計測
Researches
プローブ型多軸力センサを用いてショウジョウバエの羽ばたき運動時に発生する力を計測し、力センサの信号と同期して、ハエの側面から高速度カメラで撮影した。それぞれの計測では羽ばたき周波数(~200 Hz)より十分に高い5 kHzのサンプリングレートで計測した。計測した結果から10 μNのオーダで羽ばたき運動に合わせて力を発生していることを明らかにした。重力方向の1羽ばたき周期の力の平均値を求めると、体重と同じ10 μN程度の力が発生しており、整合性の有る結果となった。

   

1-2.チョウの翼面圧力差計測

Researches
MEMS差圧センサをチョウの翼面の前縁部に貼り付け、飛翔開始時の蝶の翼面の上下に発生する圧力差を直接計測した。差圧センサはチョウと比較して十分に小さいため、チョウの飛翔にほとんど影響することなく、翼面の圧力差を計測できる。同期して撮影した高速度カメラで映像から、翼面の空力特性として、垂直力係数を算出し、蝶の飛翔開始時に発生する力の定性的な評価を行った。

2.昆虫歩行時の足裏反力計測

2-1.アリの歩行中の足裏反力計測
Researches
 MEMSフォースプレートを用いることで、歩行する昆虫の水平歩行、垂直壁面、及び天井の移動時における6本の脚の足裏反力計測を行った。プレートを傾かせることで、任意の角度の壁面の足裏反力の評価が可能となった。対象として体重3 mgのクロヤマアリを用いた。アリの歩行時に各脚がそれぞれ発生する足裏反力を同時に計測できることを示し、水平歩行と天井歩行においては歩容が同じであっても、天井歩行時は各脚に発生するせん断力が水平歩行時と比較すると大きいことを明らかにした。

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 下山研究室
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